海の底
有川浩自衛隊三部作のうちのひとつ.
海自の潜水艦きりしおの実習幹部である
夏木大和(なつきやまと)三尉と冬原春臣(ふゆはらはるおみ)三尉は
有事には貴重な人材となる資質を持つが,平時には問題児となってしまう悪友同士.
突然横須賀基地に巨大甲殻類が上陸.
不運にも米軍基地内に停泊していたきりしおに残っていた夏木と冬原は
逃げ遅れた子供たちと一緒に艦内に立てこもる.
子供たちは下は小学校低学年から上は高校生で,
その高校生,森生望(もりおのぞみ)が唯一の女の子.
子供たちの間には奇妙な関係があり,
それが原因となって諍いが起こるが,
子供たちに事情を聞きながら立てこもり続ける.
そんな中なんでも遠慮して謝ることで丸く収めようとする望と,
優しい言葉をかけるのが苦手で,怒ったようにしゃべってしまう夏木.
この二人を中心に展開していくドラマ.
海自の話だったはずなのに活躍するのは主に機動隊.
不器用な夏木と望の中学生みたいなやり取りがたまらん.
でもこんな出会いだったら躊躇するのもわからんでもない.
普通なら何の接点もなかったはずの二人.
逆に考えればこれが運命だったのかもね.
ラストは望がいい女になって夏木さん良かったねということで.
番外編として「クジラの彼」に夏木と冬原の話が載ってます.
こっちもとても面白かった.
でも適当な順番で読み漁ってたのに,
ちゃんと「海の底」を読んだ後で「クジラの彼」を手に取ってよかった.
逆の順番で読んでたらきっと感動も半減だっただろうな.
23:43 2010/2/15 Mon.