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理解とは何か

佐伯 胖 (編)


認知心理学ってどんなのかなーって思いながら本屋さんへ.
タイトルに惹かれてちょっと読んでみた.


編集者を含め 5 名の心理学者の方々によって,
それぞれの分野から“理解とは何か”に焦点を当てたもの.
内容は自分には少し専門的過ぎてわからない部分が多かった.


中に,算数・数学における理解というものがあった.
ここでは,計算にはおよそ 4 つのレベルがあるとしている.
すなわち,

1.具体物リンゴを直接数える
2.標準的半具体物タイル,そろばん,算木などを使う
3.シェーマタイル図,そろばんなどをイメージする
4.数字(記号)(記号による)筆算

である.
つまり,はじめは実際の物を直接扱うことによって,動作で理解をする.
それがそのうち,物を直接扱わなくても,別のもの(そろばん)を使ったり,
イメージすることによって計算することができるようになる.
そして最後に,抽象的な数字という文字を用いる計算を理解することができる.

数学で大切なのは,
動くイメージと,変容するシェーマ
の 2 つである.

適切なイメージやシェーマを形成するためには,
しばしば実際に物を扱う操作が必要であることが多い.
例えば,関数といっても何を思い浮かべていいかわからない人に対しては,
左右に口のある黒い箱を見せるのが効果的である.
一方の口から入力のカードを入れ,他方の口から出力のカードを取り出す.
こうすることで,
関数に対して入出力があることや,
関数がある機能を持って出力を出すということがイメージできるようになる.

しかし,イメージが硬直化して自由に変形させることができないと,
本当の意味で理解できたとはいえない.
これは,同じような問題はすらすらと解答することができるが,
少しひねった応用問題になると途端にわからなくなるということと同じである.

イメージすることで数学が「できる」ようになり,
そのイメージを変形させることで本当の意味で「わかる」ようになる.


ひとつの章がこの算数に関するお話なんだけど,
ここまで読んで,
あれー?心理学とか関係ないなーと思ってたら,
最後の 2,3 ページでわーっとなってはてながいっぱいw
専門用語が多いのと,心理学をあまり勉強したことないっていう知識不足が原因.

23:13 2009/8/21 Fri.